お知らせ

みやぎの「花は咲く」合唱団_8月

2016.8.11

仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」
≪みやぎの「花は咲く」合唱団≫
宮城野区の仮設住宅、復興公営住宅、防災移転地区、または津波被災地域に
お住まいのおおむね60歳以上の方々と、毎月1回合唱の練習をしています。

仙台市では、震災の記憶を後世に伝える震災メモリアルプロジェクトとして、追悼と鎮魂のため、また、津波被害により集団移転となった地域の歴史を後世に伝えるためのモニュメントを市内数か所に設置します。宮城野区の中野小学校跡地で本日、その地域モニュメント完成記念式典が行なわれました。
式典のあとには地域の市民センターで交流会が開催され、中野地区に縁のある市民が大勢集まりました。この会の実行委員会からみやぎの「花は咲く」合唱団に「この交流会で歌ってほしい」との要請があり、合唱団はこの数か月練習に励んできました。
DSCN0820メンバーの中には中野小学校卒業生や中野に暮らしていた人もいるので、まさに自分たちごととしてこの日を迎えました。朝の式典に参加してから、リハーサルに間に合うよう大急ぎで駆けつけたメンバーもいました。
DSCN0817 いつものように軽いウォーミングアップと発声練習をし、本日披露する4曲を練習しました。本番の緊張でついつい力みがちになり、声が濁ってしまうのを指摘されていました。
「やさしく、なめらかに、美しい声の音色を出してください」
「のどの奥をよく開いてください。あくびをするように」
と、基礎的な練習を繰り返しました。
さて、いよいよ本番です。会場には老若男女およそ200人が集まっています。
DSCN0829まずは、合唱団講師を務めるソプラノ齋藤翠さんとピアノ目々澤亜紀さんのソロ演奏をお楽しみいただきました。翠さんが『優しい木陰で』を歌い始めると、立ち歩いていた人たちが椅子に掛け、耳を傾け始めました。冷房がなく暑くてざわざわしていた広い会場にふと優しい風が吹いて来たかのようでした。DSCN0846
「オペラは音響設備のない劇場で歌われてきたものです。私もマイクのスイッチをオフにして歌いますね」
と、『私のお父さん』を歌いあげ、オペラ歌手の矜持を見せました。
その姿に、わあっと喝采が沸きました。
DSCN0833目々澤さんは津波でだいぶ様子が変わってしまった蒲生地区での思い出を語りながら、久石譲の『あの夏へ』『Summer』を演奏しました。DSCN0837
来場したみなさんの心の中には、きっとそれぞれの夏の思い出が去来していたのではないでしょうか。
さあ、満を持して合唱団の登場です。
DSCN0848直前の練習で、翠さんが「入り口を入った瞬間からもうそこはステージと一緒ですよ」と言ったことを受けて、みなさん胸を張って壇上に並びました。やはり緊張している様子ですね。
これからの新しい町づくりが明るく豊かなものでありますようにと選んだ『歌の町』、昔懐かしい『青い眼の人形』、みなさんの暮らしが安らかで穏やかでありますようにとの願いを込めた『家路』と続きます。
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特に『家路』のハーモニーには間奏や後奏の間にも拍手が起こりました。まるで「いいぞー!」「がんばれー!」と励ましているような温かな拍手でした。8月でお盆が近いということもあるのでしょうか、今日はなぜかいろいろと思い出されることがあるようで、何人かの合唱団メンバーがほろほろと涙をこぼしながら歌っていました。
DSCN0861そして最後に『花は咲く』を歌いました。翠さんは「みなさんもどうぞご一緒に」と客席を向いて指揮をし、客席も舞台もともに歌を通じて一つになりました。
『花は咲く』の歌詞に「誰かの歌が聞こえる 誰かを励ましてる」とありますが、その通りのことが今ここで起こっていることを感じました。DSCN0862
窓からはまばゆい日の光が差し込み、あたりを明るく照らしていました。
終わると、客席からは「アンコール!」「アンコール!」の雨あられ。地元の人からの声は特に嬉しいですね。有り難いです。あいにく今日はアンコールの用意がなかったので、またいつか聞いていただける機会を願って合唱の練習に励みたいと思います。
控室に戻ると、メンバーの表情は安堵と達成感で明るく輝いていました。またこれからもみんなでがんばっていきましょう!