お知らせ
駅なかメモリアルコンサートvol.4開催しました
- 2016.8.11
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音楽の力による復興センター・東北では今年度、毎月11日に地下鉄東西線の
国際センター駅と荒井駅を会場にした「駅なかメモリアルコンサート」を企画制作しています。
東日本大震災から5年が経過した今だからこそ、市民のみなさんとともに、
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考えました。
(主催=仙台市)本日の出演はおなじみのジャスミン・トリオ(フルート櫻井希さん、クラリネット菊池澄枝さん、ピアノ鷲尾恵利子さん)のみなさんです。メモリアルコンサートでは2度目の登場となりました。「5月も聴きました。素晴らしかったのでまた来ました」とお声がけくださったお客さんがいました。どうもありがとうございます。
椅子がなく、そう広くない会場なのですが、およそ180名の来場者がありました。開演1時間前からずっと待っていた方もいます。夏休み中だからか今日は子供の姿も見受けられました。
ご挨拶代わりのエルガー『愛の挨拶』に始まり、モーツァルト『アヴェ・ヴェルム・コルプス』へと続きます。
「転調の多い複雑な曲ですが、モーツァルト最晩年の穏やかな曲調が美しい、お祈りの曲です」と菊池さんは解説しました。もちろん西洋の曲なのですが、お盆という独特の時期に聴くと不思議としっくりくるような気がします。古今東西、音楽は手の届かない遠い人へ語りかけるツールだったのかもしれませんね。
続いて櫻井さんが『庭の千草変奏曲』をソロ演奏しました。切々と胸に染み入るような調べでした。
この春に亡くなった敬愛する恩師の思い出を語り、恩師に負けないよう演奏家として頑張っていくとの気概を語りました。人は誰しも死から逃れられないわけですが、しかし、死を超えて受け継がれゆくものがあり、誰かの心に生き続けてゆくことを感じました。
後半はがらりと雰囲気を換えて、日本の歌謡曲や唱歌が披露されました。菊池さんは復興コンサートで被災地を訪れた体験を話す中で、「もし震災がなかったら、きっと行かなかった場所、きっと演奏することのなかった曲があります。震災はつらい出来事でしたが、それで生まれたご縁も大切にしていきたいです」と言いました。
気仙沼などで喜ばれる美空ひばり『港町十三番地』のほか、夏の唱歌『海』『浦島太郎』などのメドレーでは客席から自然と歌声が湧いてきて「嬉しいです。どうぞ歌ってください」と演奏家は自然発生的な共演を楽しんでいました。
最後に演奏されたのは、鷲尾さん編曲によるジャスミン・トリオオリジナルの『見上げてごらん夜の星を』でした。遠い人を想うとき見上げる星空、震災当日の闇の中で見上げた星空…この曲にさまざまなイメージが重なります。しずかに涙を拭うお客さんの姿がありました。
おかげさまで今日のコンサートもつつがなく終えることができました。暑い中をいらしてくださった観客のみなさん、そして演奏家のみなさん、どうもありがとうございました。
やはりお盆の時期はどこか特別な空気がありますね。東日本大震災から5年5か月の今日は各地で多くのイベントが開かれている様子です。方法はいろいろあるにせよ、あの日を静かに想う時間を持つことを大切にしたいと感じた真夏の午後でした。