お知らせ
田子西「うたカフェ♪」_8月
- 2016.8.19
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仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では、
町内会主催のサークル活動として、当住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、 みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、
音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。残暑お見舞い申し上げます。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
太陽がじりじりと照りつける中、花壇のマリーゴールドは花盛り。青空に映えてきれいです。
この暑さにくじけず、14名の参加者が集まりました。「ああ、やれやれ」と到着早々にアイスコーヒーで一服する人が多かったです。今日も喫茶ひこのマスター西垣さんが美味しいコーヒーを用意して待ち受けていました。
「オリンピックにちなんで、今日はブラジルという銘柄のコーヒーも持ってきました。どうぞ味見なさってください」と特別サービスもありました。
今日も音楽リーダーは仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ伴奏は富樫範子さんが務めます。
まず始めのウォーミングアップは富樫さんが担当しました。
指を一本ずつ増やしながら手拍子します。1本から5本まで音色と音量が変化していきます。簡単なワークですが、やっているとなんだか楽しい気分になってきます。
それを受けて松本さんが『茶摘』の手遊びを提案しました。
二人組になって「なーつーもーちーかづく…」と歌いながら互いの手を合わせたり手拍子したり。童心に帰って楽しむ人、恥ずかしがってとまどっている人、さまざまです。長老の「75年ぶりだから、もう忘れたなあ」という声に笑いが起きました。
本日のプログラムは夏のうた特集です。『蛍』『花火』『たなばたさま』などこの時季らしい懐かしい曲が並びます。しかし、「蛍のやどは川端やなぎ」で始まる『蛍』は知らない方も多く、「ではこの機会に、新しい歌を覚えるのもいいものですよ」と岩瀬さんが言いました。歌詞を音読し、情景をよくよく思い浮かべてから、何度か歌いました。唱歌ならではのやさしいメロディーなので、みなさんすぐ歌えるようになりました。
「それでは、歌に強弱をつけてみましょう」と、今度は岩瀬さんの指揮に合わせて、あるときは朗々と歌い、あるときはささやくように歌いました。
岩瀬さんは全身を使ってその強弱を表現するので、その指揮ぶりはダンスのように見えました。そうして、歌がいきいきとした表情を見せたように感じました。
その後、おなじみの「ほ、ほ、ほーたる来い」の歌を岩瀬さんと松本さんは二重唱で歌いました。重なり、追いかけ合い、綾なす歌声にみなさんうっとりと聴き惚れていました。人の声が重なると、どうしてこうも惹かれてしまうのでしょう。不思議な魅力があるものですね。
『村祭』を歌うとき、松本さんは「どんどんひゃらら」の「ど」の発音についてコツをおしえてくださいました。「ただでさえ暗いオの母音で、さらに濁点がつくとますます暗く、重くなってしまいます。そうではなく、明るく斜め上方に向けて〈と!〉と言うつもりで〈ど〉と言ってみてください」
試してみると、さっきまで重く内向的だった「ど」が、ぽーんと外に飛び出してくるような朗らかな音に変わったのです。なるほど!お待ちかねのコーヒータイムにお二人は「皆さんのリクエストにお応えして…」と、岩瀬さんが『ハナミズキ』を、松本さんが『サマータイム』を披露しました。
松本さんは曲の背景となる「ポーギーとベス」のストーリーや歌詞について解説し、「つらいときに聞くと、がんばろうと思える曲です」と言いました。お気に入りのナンバーのようですね。
松本さんの歌声は会場の壁をびりびりと震わせるほどに響き、文字通りに圧倒的でした。終わった瞬間、客席は一瞬沈黙し、「ほぅ…」とため息がもれて、その後大きな喝采が沸き起りました。本当に人間ってすごい。今更ながらそう思いました。明日はこの町内会の夏祭りだそうで、うたカフェの後は係の方々が手分けしてすぐ準備に取り掛かっていました。「忙しくてねえ」と言いながらも、いそいそ、わくわくとした雰囲気があり、関わる人たちが生き生きとして見えました。どうぞ楽しいお祭りになりますように!