松崎柳沢(上沢)住宅は、気仙沼フェニックスバッティングセンターのすぐ隣りにある、わずか16世帯の仮設住宅です。ちょうど仙台から気仙沼に向かう道中で、ラジオから東北地方も梅雨明けしたとのニュースが流れました。見上げると、夏の空…というよりは、もうなんだか秋の空のような澄み渡った青色が広がっていました。出演は、松峰園に続いて、メゾソプラノ後藤優子さんと、ピアノ(シンセサイザー)菅野静香さんです。

松峰園からこちらの会場までは、車で2，3分ほど。コンサートには早いのですが、セッティングをさせていただき、その後、シンセサイザー菅野静香さんがかつて通っていた愛耕幼稚園へ向かいました。現在園長を務める小山郁子先生は、菅野さんが通っていた当時も、愛耕幼稚園にお勤めでした。お昼寝の時間になると、ホールにあるピアノで先生が弾いて聴かせてくれたのが「乙女の祈り」。その先生の姿と、ピアノの音色に憧れて、その後仙台に引っ越してからピアノを習いはじめたのだそうです。「なので、私が今、こうしてピアノでお仕事をさせてもらっているのは、幼稚園の時に聴かせてもらった先生方のピアノがきっかけなんです」と菅野さん。そんなお話に、小山園長も、居合わせた先生方も驚きの再会となりました。せっかくですから、と促して、ホールに置かれたグランドピアノで、今度は菅野さんが弾く「乙女の祈り」の演奏を、先生方にプレゼント。今回のピアニストにと後藤優子さんがお誘いくださったこと、また、愛耕幼稚園さんに何度も私たちがお伺いしており園長先生にも継続的にお世話になっていたことなど、たくさんの偶然が重なっての再会に、ご縁を感じずにはいられませんでした。

さて、お名残惜しくお別れした後に、松崎柳沢(上沢)住宅談話室に戻ります。この日のコンサートの名前は「なでしこコンサート」。自治会の名前も「なでしこ会」なのだそうで、そこから拝借しました。

18:30の開園時には、散歩に出てきた1歳の女の子も、談話室に顔を見せてくれ「リンゴの唄」に手拍子。みなさんの表情が途端にほころびました。夜の開催とあって、日中はお仕事をされている方や、これまで伺った際にはお会いしたことのなかったご夫婦や男性の方も、今日は参加してくださいました。後藤優子さんの声量のある美しい歌声、菅野静香さんの技あり編曲が冴えるシンセサイザーでの伴奏に、10名のお客さまとの小さな会場も、次第に盛り上がってきました。「恋のバカンス」では、ザ・ピーナッツのように後藤さんと菅野さんが双子の姉妹に扮して、すてきなハーモニーを奏でます。タンバリンを自治会長のTさんにお渡しすると、絶妙なタイミングで合いの手を入れてくださいました。アンコールの「北国の春」「いつでも夢を」も、まぁ、みなさんいい声！歌声喫茶をよく開催されてるということもあり、みなさんさすがのノリの良さでした。

終わった後には、なんだかお名残惜しくなり、用意してくださった冷たいお茶で乾杯！短いひとときではありましたが、「またおいでね！」と言っていただけたことが、何よりでした。はい、また伺いますね！