お知らせ
駅なか復興コンサートinせんくら①
- 2016.10.1
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〈楽都〉仙台が誇るクラシック音楽の祭典「仙台クラシックフェスティバル」は今年で11年目を迎えます。
音楽の力による復興センター・東北では、この機会にあわせ、
日頃の復興コンサート活動ご参加いただいている演奏家と被災地域の若者による
「駅なか復興コンサートinせんくら」を企画しました。
会場は仙台市地下鉄東西線の荒井駅に隣接するせんだい3.11メモリアル交流館です。今朝は澄み渡る青空と汗ばむほどの陽気に恵まれました。本日は「クラリネットアンサンブルの世界」と銘打ち、クラリネットの演奏をたっぷりとお楽しみいただくプログラムです。
出演はクラリネット副島謙二さん、小竹一成さん、木村麻衣子さん、千葉直道さん。ピアノは阿部玲子さん。副島さんと阿部さんにはごく最近も宮城県塩竈市の復興公営住宅や小学校での復興コンサートにご参加いただいたばかりです。
オープニングは副島さんのソロ演奏によるモンティ『チャールダーシュ』でした。緩急目まぐるしい旋律を生み出す指づかいと呼吸を間近に感じ取れる距離感なので、お客さんの感動もひとしおです。演奏しおえた副島さんははあはあと息が上がって、「これ吹くの大変なんですよ」と言うと、大きな拍手と笑いが起きました。木村さんと小竹さんのデュオは2種のクラリネットを使って、プーランク『2本のクラリネットのためのソナタ』を披露しました。実は初めての会場とお客さんとのあまりの近さに演奏前はため息が出るほど緊張していたお二人なのでした。汗を拭いながらの見事な演奏をお客さんは温かく見守っていました。
続いてはトリオでプレイエル『クラリネット三重奏曲』、モーツァルト『ディヴェルティメント第2番メヌエット』が演奏されました。だんだん人数が増えていく構成が面白いです。
副島さんはさまざまな種類のクラリネットを見せながらひとつひとつ解説しました。どうしてクラリネットにはこんなにヴァリエーションがあるのか、不思議ですね。最後はピアソラ『3 TANGOS』とトンプソンの組曲『CITY SCENES』をカルテットで演奏しました。バスクラリネットの千葉さんは楽器に相応しく大きな体格で、この大きな楽器をらくらくと吹きこなします。タンゴやジャジーなメロディに低音が効いてグルーヴ感が生まれます。多くのお客さんは体を揺らしてノリノリな様子でした。
副島さんの気さくで素朴な人柄がにじむトークで、コンサートはほのぼのとした雰囲気で進行します。
「僕たちはまだ名前もないグループですが、これからこの4人で活動していってもいいでしょうか?」と副島さんが問いかけると、お客さんは「いいぞ!」「ぜひ!」と大きな拍手で応えていました。
クラリネットの音色そのもののような温かさにあふれた秋の午後でした。