お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_10月

2016.10.21

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では、
町内会主催のサークル活動として、
この住宅とその周辺にお住まいの方々の交流の場
「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、
音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。

dsc_1023秋晴れの田子西地区、空が広いので遠くの山並みまで見晴るかすことができます。暖かな日差しの中、13名の参加者が集まりました。
さて、本日もうたカフェ開店です。音楽リーダーはいつものように仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ伴奏は富樫範子さんです。

dscn1986まずはオーストラリア童謡の「山のごちそう」でウォーミングアップ。dscn1976
歌に合わせて膝や手をたたいたり、指を鳴らしたりします。
サビのカッコウの鳴き声がどんどん増えていくので、結構な運動量になった様子。ある方が「はぁぁ燃え尽きた…」と言って笑っていました。

今日はフォークやポップスを中心としたプログラムだそうで、さてどんなことになりますか、楽しみです。以前、「聴いてみたいわ」とリクエストがあった『いとしのエリー』にはじまり、『切手のないおくりもの』『秋桜』『翼をください』etc…と続きます。
dscn2007歌う前は「この歌は知らないなぁ」と言っていた人も、メロディを聞くと「あ!知ってる!」と楽しそうに歌い出しました。参加者の全員が歌っていたのでほっとしました。
演奏家が「みなさんの青春時代の歌でしょうか?」とたずねると、「子育て真っ最中だったねえ」「そうだねえ」との答えが返ってきました。
dscn2021
中でも『秋桜』を歌ったときは、ちょうど小春日和だったこともあり、しんみりとした雰囲気になりました。「…良い詩だねぇ」「涙が出てきた」という声に、松本さんは「人前で歌うときは泣くのを我慢しないといけないので、客観的なもう一人の自分を作って歌うんです」と言いました。オペラも感情移入しすぎると泣けて歌えなくなるのだそうで、これもプロのコツでしょうか。「もちろん一人で歌うときはいっぱい泣いてもいいですよね」はい、心のデトックスにも歌は大いに効果を発揮しますね。
dscn2033今日はいつもに増して曲数が多かったので、みなさんのどが渇いたのでしょう、コーヒーを淹れるのが追い付かないほどの人気ぶりです。喫茶ひこのマスター西垣さんが「今日はなんだか売れ行きがいいねえ」とあわてて追加していました。ちなみに今日のお茶菓子は色とりどりの珠ようかんです。

dscn2013 dscn2037コーヒーを味わいながらのミニコンサートでは、松本さんが『もののけ姫』を、岩瀬さんが『秋のあじさい』を披露しました。会場はしいんと静まって、声や言葉のひとつひとつを噛みしめるように聴き入るみなさんの姿がありました。八木重吉の「素朴な琴」という詩をふと思い出すような光景でした。心の琴線がふるえていたのでしょうか。
dscn2032おかげさまで、うたカフェが始まって丸2年となりました。
最初訪れた頃、この周囲には店も何もなく工事車輛が行きかって殺風景だったのですが、今では家が立ち並び、大きなアパートやスーパーも出来て、すっかり町らしくなりました。
この新しい町で、新しい人たちの出逢う場として、うたカフェがお役に立てたらいいなあと思います。これからもよろしくお願いします!