お知らせ
表松川住宅「はじめましてのコンサート」
- 2016.11.17
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気仙沼市切通にある災害公営住宅の表松川住宅は真新しく、まだ自治会が立ち上がってない状況です。入居した方々はここにどんな人たちが暮らしているのかとお互いに一種手探り状態にあるそうです。 まずは部屋から出て、互いに顔を合わせて「初めまして」のきっかけとなるべく、復興コンサートをお届けに行きました。
出演は仙台チェンバーウィンズのみなさんです。
大きな窓からは陽がさんさんと差し込み、とても明るい雰囲気の集会所です。しかし、まだ自治会がないために集会所を使うルールが確立しておらず、あまり催し物もないそうで、ここでの音楽イベントはこれが最初の開催となりました。
今日はご高齢の方を中心におよそ14名の参加者がありました。耳なじみのあるクラシック曲や日本の歌謡曲など幅広いプログラムを、多くの方が足や体でリズムを取りながら楽しんでいる様子でした。
フルートの渡邉さんとクラリネットの叶さんがイチオシの歌謡曲『異邦人』では「ああ!この曲ね」「懐かしいわ〜」といった表情で聴いている方がいました。ここでもやはり『銀座の恋の物語』は好評で、一緒に口ずさむ歌声が聞こえてきました。
また、秋にちなんだ唱歌を集めたメドレーでもすすんで歌う人が多くありました。このメドレーに隠された或る曲名を当てるクイズにも気さくに参加してくださって、コンサートは終始和やかに進みました。
最後は『赤とんぼ』をともに歌っていただいて、「はじめましてのコンサート」はお開きとなりました。
叶さんが「ここで最初のコンサートをさせていただいて、本当にありがとうございました」とみなさんに御礼を言いました。
終演後は、演奏家のためにと手作りの蒸しパンや漬物、たくさんのりんごがふるまわれ、数名の住民の方とお茶をご一緒しました。
「どの曲もそれぞれにすてきでした」「生の演奏はいいねえ」「また来てくださいね」との声を頂戴し、よろこんでいただけた様子にほっとしました。
最新の住宅で快適なはずの新生活が始まったわけですが、コミュニティづくり、人間関係づくりが大きな課題です。「どこにだれが住んでいるんだか、わからないんだよね…」と、住民の方がため息まじりに語っていました。この問題はここに限らず、被災地の至る所で起こっています。似たような話はいろいろなところで耳にします。即効薬となる解決策はなかなか見つかりそうにありませんが、そのちょっとしたきっかけに音楽が必要であればお手伝いさせていただきたいと思います。