お知らせ
茂庭第二「たんぽぽコンサート」へ
- 2016.12.8
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仙台市太白区にある茂庭第二復興公営住宅は今年の4月から入居が始まった真新しい住宅です。まだ自治会が立ち上がっていないこともあり、住民同士の交流もいまひとつ活発ではないそうです。
その状況を受け、茂庭地区社会福祉協議会では毎月2回「たんぽぽサロン」を開いて、住民が気軽に集える場を作っています。今回はそのサロンに招かれて「たんぽぽコンサート」をお届けすることになりました。
会場には住民の方や支援者の方々、およそ30名が集まりました。クリスマスのデコレーションがとても華やかで、コンサート気分をぐっと盛り上げています。椅子やカーテンはおさがり品で暖房器具も借りてきた物だそうで、まだ万全ではない環境ですが、演奏を楽しみに待っていたという気持ちが伝わってくる設えでした。ここでの演奏会は初めてということで支援者の方々も張り切っていました。
出演はクラリネット副島謙二さんとピアノ阿部玲子さんです。
副島さんの気取らない穏やかなトークでお客さんは最初から打ち解けた様子でした。『チャルダッシュ』では「僕の苦労するさまをごらんください」と笑わせ、演奏後はやんやの拍手が沸きました。
『だんだん小さく』ではクラリネットが分解されるたびにくすくす笑いが起きて、最後は「ええっ」「おおぅ」と驚きの声が上がります。副島さんは音の出る仕組みやリードの説明をして、ちょっとしたクラリネット講座となり、みなさん興味津々の様子でした。
クラシック曲だけでなく、往年のジャズの名曲も披露され、『メモリーズ・オブ・ユー』『鈴懸の道』では一緒にメロディを口ずさむ方、軽く体をスイングさせて曲に乗っている方の姿がありました。「うわ~なつかしいね~」との声も聞こえてきました。
クラシック音楽、ジャズ、日本の唱歌や映画音楽、そしてクリスマスソングを取り混ぜたプログラムはみなさんにとてもお喜びいただけた様子で、アンコールの『上を向いて歩こう』では、演奏に合わせた歌の共演で拍手喝采、大団円の終幕となりました。
終演後にはお茶会が催され、美味しい手づくりのケーキや漬物とともにおしゃべりを楽しみました。最後に、たんぽぽサロンで作った可愛いサンタクロースが演奏家に贈られました。演奏家に握手を求める人が次々にいらして、なかなか帰れません。名残を惜しみつつ今日のところはお披きとなりました。こうした復興公営住宅で新しいコミュニティをつくることの難しさはあちこちで耳にしますし、ひしひしと感じられます。特にここは高齢化率が高い住宅とのことで、その困難さはさらに増しているようです。それでも日々の生活が穏やかで明るいものになりますように音楽がささやかながらお手伝いできればいいな、と思います。