お知らせ

七ヶ浜町「新春コンサート」開催しました

2017.2.4

宮城県の東部、松島湾に突き出すように在る七ヶ浜町は東日本大震災の津波による大きな被害があった町です。また、昨年11月22日の地震のときも津波で養殖海苔のいかだをひっくり返されるなど影響があったそうです。
起伏の激しい地形が特徴で、高台にある汐見台地区は1980年代に開発されたニュータウンです。汐見台四丁目では、震災後に地域の高齢者の引きこもりを防ぎ、交流を促進するために「あつまらん会」を立ち上げ、毎月一回のサロン活動を自主的に継続しているそうです。
DSCN3345今日はその会からの要請で復興コンサートをお届けすることになりました。出演はクラシックギタリストの佐藤正隆さんと小関佳宏さんのデュオです。2月にしては珍しく穏やかな日和に恵まれ、会場の大広間に敷き詰めた座布団はすぐにいっぱいになりました。宴会でも始まりそうな雰囲気ですね。
オリジナル曲から演歌、タンゴ、唱歌などヴァラエティに富んだプログラムが披露されました。みなさんじいっと耳を澄まして、全身で聴いているようでした。知っている曲が演奏されると一緒に口ずさんでいる方がいましたし、『川の流れのように』では終わった瞬間に「…はぁ~」と客席から大きなため息が出ました。音楽と呼吸を合わせて味わってくださっているんだなあと思いました。DSCN3351
佐藤さんが「満員御礼に感謝して、この曲を」と、プログラムにはなかった『禁じられた遊び』を弾き始めました。すると「わぁ!」と小さな歓声が上がり、「ギターはやっぱりこれだよねえ」とどなたかが言ったのが聞こえました。
DSCN3361アンコールでは『北国の春』を一緒に歌いました。「ほら、〇〇さん十八番でしょ!」「んだんだ」とみなさん楽しそうに歌っていました。東北の人にはこの歌は格別にしみるようですね。その朗々とした歌声に演奏家も嬉しそうにしていました。

大きな拍手に送られて演奏家が去ると、或るご婦人がやってきて言いました。
「聴いていたら涙が出てきて仕方なかったの。どうしてかしらね」

震災から6年経とうとしていますが、胸の中にはまだ割り切れない思いや凝り固まった思いがあるのでしょう。その凝りを溶かすのが音楽の仕事かもしれません。
「また来てけさいね!」との熱い声に送られて会場を後にしました。はい、またお会いしましょう。