お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_3月

2017.3.14

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、泉中央南町内会と
泉区まちづくり推進課と協働してこのサロンを運営しています。

「歌声サロン」の音楽リーダーを務めているメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんから「いつもみなさんにお世話になっているので、お礼のコンサートをしたいです」との提案がありました。今年度最後のサロンで特別企画「ホワイトデー☆スペシャルコンサート」を開催することにしました。
あいにくの雨降りにも関わらず、45名の参加者が集まって会場は熱気に満ちています。せっかくの特別企画なので、本格コーヒーを提供すべく、いつも田子西市営住宅「うたカフェ」でお世話になっているコーヒ専門店のマスター西垣さんをお招きしました。やって来る人たちがみな「わぁ、いい匂いだこと!」と驚きの声を上げました。作戦成功ですね。「うれしいわぁ」と、多くの人が自家焙煎のブレンドコーヒーを味わっていました。或る人が「私、前にみなし仮設に居たとき、市民センターで西垣さんのコーヒー講座に参加したのよ!」と言い、西垣さんは「そうでしたか!」と偶然の再会を喜んでいました。巡りめぐってこういうこともあるんですね。
今日はスペシャルなので、お二人は目にも鮮やかなカラードレス姿で登場。その瞬間、客席が「うわぁっ!」と沸きかえりました。「すごーい!」「綺麗だねー!」としばらくため息とざわめきが止みませんでした。
テレビドラマの主題歌としておなじみの「スタンド・アローン」から始まり、唱歌、ポップス、オペラとバラエティに富んだプログラムが披露されました。
瀧廉太郎『花』では自発的に歌い出す人が多数あり、歌声サロンで蓄積された゛歌のたのしみ方”がここで活かされているなあと思いました。
喜納昌吉の『花』では、「私ね、この歌をリクエストしようと思ってたの!」と嬉しそうに話してくださる人がいました。「泣きなさい、笑いなさい」という歌詞がやさしくてほっとしますね。つらい経験をした人には「泣いてもいいんだよ」と許される場が必要です。ゆったりとしたメロディと二人のハーモニーに乗せてこの6年の年月が思い起こされたのではないでしょうか。
最後はオペラ「カルメン」の『ハバネラ』でした。この曲をイメージして田村さんは真紅のドレスにしたとのこと、お客さんから「お~いいねえ」と拍手が送られました。
後藤さんはカルメンになりきって仕草もまじえながらフランス語で歌います。その歌に負けじと田村さんも力強くピアノを弾きます。集会所が一つの舞台になったようで、みなさん食い入るように見つめていました。情熱あふれる演奏に大きな喝采が沸きました。
さて、ここからはいつもの歌声サロンに戻り、花や春にちなんだ3曲を歌いました。
『バラが咲いた』を嬉々として歌うみなさんの様子が印象的でした。声質はいろいろあれども皆さんの声が生き生きと一つになって、まるで合唱団のように聞こえました。おお、なるほど゛愛唱歌”とはこうしたものか、と思いました。
昭和アイドルグループのヒット曲『春一番』のときに、後藤さんが「この歌、知っているひと!」と呼びかけると「はーいっ!」と勢いよく手を挙げるおばさまがいらして、「ええっ!」とこちらが驚きました。およそ半数の手が挙がり、手を挙げていなかった方も曲が始めると意外に歌えていたので、こういうジャンルの歌も新鮮で良いかもしれないなあと思いました。
3曲目の『花は咲く』では目頭を押さえていた人がちらほら見受けられました。やはりこの時季になると思い出されることがありますね。
歌い終わっても参加者の熱は冷めやらず、アンコールとなりました。後藤さんは「この広い空の下でみなさんの毎日が平和でありますように、という祈りを歌にしました」と、ご自身で作詞作曲した『SO・LA』を歌いました。その祈りと歌声に包まれるようにしてみなさんはじっと聴き入っていました。

演奏後は恒例のお見送りです。演奏家に話しかけたくてうずうずしながら待つ行列ができるほどでした。
 いつもの様子と違うドレス姿のお二人に「おそれ多くて話しかけられねっちゃー!だあははは」と冗談を飛ばすおばさまや、「これ、よかったら使ってね」と髪留めをプレゼントするおばさま、「コンサートだって知ってたら花束持ってきたのに!」と残念がる町内会役員さん、なかなか話の尽きないおじさまなどなど、最後まで賑やかな歌声サロンなのでした。
新年度も引き続きこのサロンを開催する旨をお知らせしたところ、「やったー!」「ああよかった」「安心したわ~」と歓声があがりました。みなさまに愛される場になっている様子で私たちもうれしいです。今後ともよろしくお願いします。