お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_3月

2017.3.17

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では、
町内会主催のサークル活動として、
この住宅とその周辺にお住まいの方々の交流の場
「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、
音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

あっという間にひと月すぎて、今日も田子西市営住宅集会所へ「うたカフェ」をお届けにまいりました。風は凍みるように冷たいですが、会場の中は日差しにあふれて春爛漫の様子です。
音楽リーダーはいつものように仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ伴奏は本日初めて参加の大山茂美さんです。どうぞよろしくお願いします!

さて、ウォーミングアップは前回もトライした手遊びです。
「どんぐりころころ」を歌いながら、片手のグーをもう片方のパーで受けるというシンプルなものです。が、実際やってみると結構あわてます。それを隣の人の手で行なうという難易度の高いワークで、一同大混乱。「できないー」と言いつつ大笑いする人が多数で、だいぶ盛り上がりました。いやはや大変なさわぎでした。
今日のうたは花をテーマにした作品を特集しました。日本古謡の『さくらさくら』、フォークソングの『バラが咲いた』、有名な映画音楽『エーデルワイス』、唱歌の名曲『朧月夜』の4曲です。
どれもみなさんよくご存じなので最初からすらすらと歌えました。が、ここで松本さんのワンポイントアドバイスが。
「さくらさくらの゛かすみか雲か”のところは、音を滑らすようにずらすようにして降りてくると情緒が表現できます。これを゛ポルタメント”と言います」
演歌のこぶしともまたちがうらしいですが、何かしらの味わいが出てくる歌い方です。柳のようなしなやかさとでも言いましょうか。
また、冒頭の「さくらさくら」という部分は、「最初は遠くの桜の景色に呼びかけるように、2回目は手元の花に語りかけるように歌いましょう」とのこと。フレーズにメリハリがついて歌が躍動するように聞こえました。
『バラが咲いた』では、「鼻濁音の゛が“に気をつけましょう」との助言があり、さらには「歌詞が淋しくても歌は明るい表現をお願いしまーす!」と喝が入りました。どうしても歌詞の意味に引きずられて、顔の表情がしょんぼりしたり、下を向きがちになってしまうのです。
「首でなく、おへそから起こすようなつもりで、楽譜を高めに持って歌いましょう!」
さっそく多くの方がピシッと良い姿勢になりました。この「へそから姿勢を起こす」意識は日常生活の中でも持っていたいですね。
今日も自家焙煎コーヒー専門店の西垣さんが美味しいコーヒーを用意してくださいました。お菓子は歌にちなんで桜の花の落雁にしてみました。「わぁ、可愛い」と女性に好評で、気分も華やぎます。

コーヒータイムのミニコンサートは松本さん独唱の『早春賦』、松本さんと岩瀬さんの二重奏で『たんぽぽ』『花』が披露されました。今日は最初から最後まで花づくしのうたカフェでした。
最後に、町内会長さんが「今日はちょうど30回目なんですよ」と言い、今日たまたま来ていたこの企画の生みの親とも言えるかつての担当者、柴田さんを紹介しました。柴田さんは「うたカフェがこうして続いていて良かったなあと思います」と、感慨深げでした。
振り返れば、本当にさまざまな人々のおかげがあってこうやって続けてこられたなあと改めて思いました。
新年度はどんな出会いがあるでしょうか。これからもたのしく歌いましょうね!