お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_4月

2017.4.4

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、泉中央南町内会と
泉区まちづくり推進課と協働してこのサロンを運営しています。

新年度最初の歌声サロンです。青空が広がって汗ばむほどのぽかぽか陽気となりました。やっと、春ですねえ。
さて、今日も音楽リーダーの声楽家・後藤優子さんとピアノ田村聡子さんは舞台演出に余念がない様子。桜の造花があちこちに飾り付けられると、会場の空気がぱあっと春色に染まって明るくなりました。さらに後藤さんは自宅の庭からすみれの花を摘んできて、小さな瓶に活けていました。青むらさきの花が可愛らしいです。
そうこうするうちに40名を超える参加者がやって来て、朗らかに挨拶を交わし合っています。最近では前の座席もすぐに埋まるようになってきました。この会がすっかりおなじみになった証拠ですね。嬉しいことです。
まずはウォーミングアップから。いつもの体操に加えて今日は呼吸するときの新しいコツが紹介されました。
音をさせずに静かに吸いこんだり、目をぱちっと大きく見開くと呼吸がより深くなるというものです。フシギですね、自分の体のことは知っているようで知らないことがあるんだなあと思いました。歌うためには身体を総動員させる必要があるんだなぁとわかります。

歌うコーナーで、まずは季節の定番、古謡『さくらさくら』を歌いました。
ここで「さくら」の「さ」の発音と、「やよい」の「や」の発音についてアドバイスがありました。さ行音は前歯の隙間で摩擦するように出し、「や」は「ぃや」と発音するつもりで歌うと言葉の輪郭がくっきりするそうです。よく知っている歌でもちょっとしたコツで表情が変わって聞こえますね。
続いて、かつての人気テレビドラマ主題歌『野に咲く花のように』を歌いました。「これ歌ったことないわ」「あんまり知らない…」と最初は控えめなご意見も聞こえてきましたが、後藤さんがちょっと見本を示すと一緒に口ずさむ方も多く、ほのぼのと心が温かくなる歌詞とメロディにつられて結果的にはみなさんが歌っていました。田村さんもハモリを歌って応援します。
自分の好みとちがうけど、すてきな歌はたくさんありますよね。そういう新しい歌との出会いも提供していければいいなあと思います。
最後はなんと谷村新司の『昴』でした。参加者からのリクエストに応えた選曲です。こういうドラマティックな作品はその気になって歌うのがポイントです。みなさんが朗々と歌い上げるエンディングは壮観でした。「みなさん合唱団みたいですね!谷村さんのバックコーラスやれるんじゃないですか」と後藤さんが言うと「あははは~」と笑い声が上がりました。
ティータイムのミニコンサートでは花にちなんだタイトルの歌が披露されました。『さくら貝のうた』の抒情的でしっとりとした旋律にみなさんしみじみと耳を傾けていました。
続いては『すみれの花咲く頃』。あのすみれはこの歌のために用意されていたんですね。みなさんそれに気がつくと「お~」と顔をほころばせていました。かの有名な「す~みれのは~な~」というフレーズに身を委ね、多くの人がゆるやかに体を揺らしながら一緒に口ずさんでいました。古き良き時代の美しさと浪漫あふれるこの歌は今日の明るい日差しにぴったり、うっとりとして聴き入る男性もいましたよ。締めはがらっと雰囲気を変えて、坂本冬美『夜桜お七』でドラマティックに決めました。サビの部分では自然に手拍子が湧いて大盛り上がり。
「あー今日も楽しかった!」とご満悦の様子で帰ってゆくみなさんの笑顔に演奏家のお二人もまたニコニコ顔で「ありがとうございます!」と応えるのでした。