お知らせ

石巻・新沼田第二「春の音楽会」へ

2017.4.8

今日は石巻市蛇田地区にある新沼田第二復興住宅へうかがいました。このあたりは防災集団移転地域で2つの集合型復興住宅と戸建て住宅が立ち並んでいます。石巻あゆみの駅からの道々には新築中の家がたくさんあって、まさに変化の最中と言った感じがします。
自治会長さんの話では、この集会所にまだ来たことのない住民もいるのでこの機会にそういう人たちにこそ是非来てほしいし、近隣の戸建ての人たちにも呼びかけて幅広い交流のきっかけにしたい、とのことでした。しかし、これまでコンサートを開催したことがなく、いったいどんなことになるのだろうと自治会役員の方々もそわそわして落ち着かない様子でした。とにかくありったけの椅子を並べてお客さんを待つことにしました。
さて、本日の出演は仙台フィルメンバーによる弦楽四重奏団カルテット・フィデスのみなさん(ヴァイオリン松山古流さん、ヴァイオリン熊谷洋子さん、ヴィオラ御供和江さん、チェロ石井忠彦さん)です。
ふと気がつけば、開演時刻の19時にはほぼ満席となり、その後も来場者は増えて立見の人や床に座り込む人もいて、40名を超える来場者で会場内は熱気むんむんでした。
自治会長さんは椅子が足りなくて恐縮しながらも「こんなに来るなんて…」と喜んでいました。嬉しい悲鳴とはこのことですね。

オープニングはクライスラー『愛の喜び』です。溌剌とした弦の響きがぱっと広がって春風が吹いてきたようです。お客さんは「はっ」と一瞬息をのんでから、「はぁ~」とうっとり聴き入っていました。こんなに間近で弦楽奏を見聞きしたことはかつてなかったでしょうから、全身に響く音楽は新しい体験となったのではないでしょうか。
進行を担当する御供さんが「愛をテーマにした曲がクラシックにはいろいろあります。私たちの愛が届きますようにと思ってこの曲にしました」と言うと、お客さんは笑顔でうん、うんと頷いていました。
これ続く序盤はクラシック名曲集で、モーツァルトやヴィヴァルディほかの弦楽曲が演奏されました。1曲終わるたびに客席からは「ほぉ…」「はぁ…」とため息が聞こえてきます。呼吸をするのも忘れて、と言うと大袈裟ですが、息を詰めてじっくりと演奏に向き合っている様子が伝わってきます。
中盤は雰囲気を一転し、「みんなで歌いましょうコーナー」となりました。
「音楽には聴く楽しみも弾く楽しみもありますが、私たちはみなさんと一緒に゛音楽する”のが大好きなんです!」と御供さん。この季節にぴったりな『北国の春』を演奏しました。
2番までの予定がお客さんの要望で急遽3番まで歌うことになり、その要望がむしろ嬉しいらしく、フィデスのみなさんは「はい、よろこんで!」と腕まくりせんばかりの勢いで演奏していました。この歌が十八番の方もきっと多いでしょうね。或るおじさまは「お~生演奏で歌えるなんてやぁ」とじつに楽しげな様子でした。
終盤は懐メロやタンゴほか、ノンジャンルのおなじみの曲の数々が披露され、最後はモンティ『チャルダッシュ』の丁々発止のやりとりにやんやの喝采が送られました。
1歳の女の子もパパの膝の上で最後までおとなしく聞いていて、周囲の大人は「あらぁ~めんこいねえ」と目を細めていました。
自治会長さんも役員のみなさんも初めてのコンサートを終えてほっとした表情をしていました。この集会所に来たことのなかった人が今日はけっこういらしていたらしく、自治会長さんがの望んでいた「幅広い交流」の第一歩になれたかなとこちらも安心しました。

「初めてこういうの聞いたけど、なかなかいいね。これはいいもんだ」
「ヴィオラって花の名前かと思ったら、楽器もあるんだ」
「ここに来てようやく1年だよ、今日は良い記念になったなあ」
などなど、さまざまな声が聞かれました。
おかげさまで心温まる春の宵となりました。たくさんのご来場、どうもありがとうございました。