お知らせ
みやぎの「花は咲く」合唱団_4月
- 2017.4.26
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仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」
≪みやぎの「花は咲く」合唱団≫
おもに宮城野区の仮設住宅、復興公営住宅、防災集団移転地区、
または津波被災地域にお住まいのおおむね60歳以上の方々と、
毎月1回合唱の練習をしています。みやぎの「花は咲く」合唱団の新年度が始まりました。3月を越すとメンバーの様子がどこかしら明るく軽やかに感じられます。気分一新、また新たな気持ちで練習をしていきましょう!
さて、いつものように合唱指導は齋藤翠さん、ピアノ伴奏は目々澤亜紀さんです。新しい練習曲が3つも用意されていました。束になった楽譜を手渡されるとメンバーは「えっ!?こんなに?」と驚いていましたが、焦らずじっくりと音楽を作っていこうではありませんか。
まずはウォーミングアップ、今日は肩甲骨まわりと胸まわりをほぐすことを重点的に行ないました。腕を広げ、直角に曲げて肩甲骨を寄せたり広げたり。これだけでふうふうと息の上がっている人もいるほどです。けっこう効きますね。
続いて、「どんぐりころころ」のリズムに合わせながら鎖骨の下あたりをトントンとたたくエクササイズです。これはなかなか気持ちが良いのでお試しください。
翠さんは「植物が陽にあたって葉っぱを広げるように。光合成をするような気持ちで」と胸を開くことの大事さを説明しました。翠さん自身もこの姿勢を身に付けるために長い棒を後ろ手に背負って練習したことがあるそうで、みなさんその姿を想像して「えー!」と興味深そうでした。そのうちやってみましょうか。
では、歌の練習に入ります。一曲目は『見上げてごらん夜の星を』です。のっけからアルトパートの音取りをやりました。みなさん二部合唱と聞いてもだんだん動じなくなってきたのがすごいなあと思います。かなりの進歩ですよ。
亜紀さんが弾く低音部のメロディに耳を澄ますアルトさんたち。しかし、複雑な音型に絶句して、たじたじの様子でした。そこへ翠さんが「難しいと言うより〈やり甲斐がある歌〉と言えますね」と言うとアルトさんたちは「あはは」と一斉に笑い出して、心配を吹き飛ばしました。
初日からハーモニーを作ることに挑戦し、2チームに分かれて互いの歌を聞きあいました。この「他の人の歌を聴く」ということがまた良い勉強になりますね。「お~けっこういいねえ」「上手だね~」と互いに拍手を送り合っていました。
2曲目は『あの素晴らしい愛をもう一度』です。これは部分的な輪唱やヴォカリーズもある凝ったアレンジですが、メンバーがたじろぐ隙を与えぬ素早さで翠さんは音取り練習をぐんぐん進めました。
「今日は初回ですからできなくて当然です。むしろ〈できないこと〉が大事なんですよ」と言いました。なるほど、「できない」と自覚することから学びと成長が始まります。怖じ気づくよりどんどん失敗していくほうが身になりますからね。みなさんちょっとほっとした様子で何度も繰り返しました。気がつけばあっという間に時間は過ぎて、最後にはなんとなくそれらしく聞こえる二部合唱になっていました。みなさんは達成感のある笑顔になって、拍手で「おつかれさまでした~!」と締めました。
或るメンバーが、ふと、問わず語りに言いました。
「震災後『見上げてごらん夜の星を』はつらくてどうしても歌えなかったんだけど、今日はアルトの音取りに必死でいつの間にか歌えてました…」
こんなところにも人それぞれの節目があります。何かひとつ越えた7年目の春です。