お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_5月

2017.5.2

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、泉中央南町内会と
泉区まちづくり推進課と協働してこのサロンを運営しています。

風薫る5月となりました。樹々の新緑が清々しく目に鮮やかで、思わず深呼吸したくなりますね。泉中央南市営住宅のそばから望む泉ヶ岳もすっかり雪は融けている様子です。
さて、今日も音楽リーダーの声楽家・後藤優子さんとピアノ田村聡子さんは小道具満載でやってきました。今日のデコレーションはプログラムにちなんで、鯉のぼりと真っ赤なカーネーション、そしてスウィートピーの花、さらに電子ピアノには新緑のもみじまで飾り付けましたよ。さわやかですねえ。
準備しているときに町内会長さんがいらして「歌声サロンはこの住宅の交流の要なんだよ!」と2回もおっしゃいました。そして「いつもありがとね!」と栄養ドリンクの差し入れをお二人に手渡しました。こちらこそありがとうございます。お役に立てているようで何よりです!
会場にはおよそ30名の参加者が集まりました。「今日はじめて来たんです…」と遠慮がちにしている人たちが4~5人いました。常連さんから「歌声サロン、楽しいよ。来てみたら?」と勧められたとのこと。どうぞどうぞ、めいっぱい楽しんでいってくださいね。
まずは恒例のウォーミングアップから。今日は重心を意識することを念入りにやりました。左右または前後に体を揺らしてから、自然にすうっと立ちます。からだが整ってふわっと軽くなるような感じがしました。
発声前には顔の筋肉をよくほぐします。「眉毛を3センチ上げるつもりで、目をぱっちりと!」と後藤さん。眉を上げると喉の奥の天井も上がって良い発声ができるそうです。「教会の中は天井が高くて音がよく響きますよね、それと同じ仕組みです」との説明がありました。建築と歌がつながるとは、興味深いですね。
本日最初の課題曲は『こいのぼり』と『鯉のぼり』のメドレーでした。懐かしの唱歌でみなさんお手のものですね、歌声が伸び伸びとして、窓の外の丘にまで届きそうな伸びやかさでした。「わぁ、いいですねえ」と演奏家から思わず拍手が出ました。
さらに「高い音を歌うときには眉毛3センチ上げるつもりで」とのアドバイスを受けて、高音がより滑らかになったように聞こえました。きっと歌っているご本人も変化がわかったのでしょうね、歌う姿勢に熱がこもって声がぐっと生き生きしました。
続いて『ドレミの歌』では、後半部分を「ドミミ」班と「ソ~ド~ラ~ファ~」班の二手に分かれてハモリに挑戦しました。ちょっと早口気味に「ドミミ、ミソソ、レファファ、ラシシ」を繰り返すのに隣の声につられないようにと必死になっている姿が微笑ましいです。初参加の人たちも歌うのに一所懸命で、すっかり場になじんでいました。こういうちょっとした仕掛けがあると良い意味での競争心が出て燃えますね。最後は「ヘイ!」と参加者から締めの掛け声が出てくるほど盛り上がりました。

さあ、このへんで一息入れましょう。お茶うけはこいのぼり柄のパッケージのあられです。「あら、かわいい!」「食べちゃうのかわいそうだけど食べちゃうわ。あはは」などの声が聞こえてきました。かたや演奏家とすっかり話し込んでいるおばさまたちはリクエストでもしているのでしょうか、じつに和気あいあいの様子でした。
お茶の時間のミニコンサートはまずモーツァルト『恋とはどんなものかしら』が披露されました。
イタリア語のオペラ曲にはみなさん圧倒されたように「はぁ~」とした表情で惚れ惚れと聴いていました。「私、オペラ好きだからうれしい!」と後でおしえてくださった方がありました。
続いての松田聖子『赤いスウィートピー』では、ベルカント唱法から一転したアイドル曲ですが、後藤さんと田村さんとのハーモニーがとても素敵で、しみじみとした味わいがありました。
言わずもがなの「アンコール!」は、「母の日にちなんでこの曲です」と森進一『おふくろさんよ』が演奏されました。女性なのに…と意外な選曲かと思われましたが、後藤さんの情感こもった歌いぶりにそっと涙をぬぐう人の姿もありました。きっとみなさんそれぞれにご自分のお母さんのことを思い出していたことでしょう。
今日もみなさんの拍手喝采と笑顔で終演となりました。ある方が「時間が短いねえ」と言いました。楽しい時間はあっと言う間に過ぎるというのは本当ですね。お名残惜しいですが、どうぞ次回をお楽しみに!