お知らせ
カルテット・フィデスの気仙沼ツアー②
- 2017.5.8
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気仙沼の仮設住宅や復興公営住宅で支援コーディネートをする村上充さん(ムラカミサポート)のご協力で、今月も2日間の復興コンサートツアーを行ないました。
出演は仙台フィルメンバーによる弦楽四重奏団カルテット・フィデス(ヴァイオリン松山古流さん、ヴァイオリン熊谷洋子さん、ヴィオラ御供和江さん、チェロ石井忠彦さん)です。四反田住宅での別れを惜しみつつ、駆けつけたのは反松地区にある気仙沼教会です。こちらに併設の愛耕幼稚園に何度か伺っているご縁で今回も演奏できることとなりました。夕暮れ時の開演にちなんで「いちばん星コンサート」と題しました。
礼拝堂はとても響きが良くて、試し弾きした演奏家が「わぁ…」と嬉しそう。長時間の移動と本番一つ終えた疲れを微塵も見せず、カルテットは嬉々としてリハーサルに勤しんでいました。
日中吹き荒れた暴風もおさまって穏やかな夕べです。会場には乳児からおじいちゃんおばあちゃんまでおよそ50名の参加者が集まりました。
ここではクラシック曲をメインとしたプログラムで進行しました。やはり礼拝堂の雰囲気にはぴったりですね。
ヴィヴァルディ、バッハ、モーツァルトなど、弦楽ならではの美しい響きが会場を満たし、多くの人がうっとりと耳を傾けています。
ヴァイオリンの調べは天から降るようで、チェロの響きは木の床を伝ってきて、聴く人のからだに共鳴しています。耳だけでなく全身で音楽を堪能できました。最前列に居た中学生は身じろぎもせずにじっと集中して聴いていました。もしかすると音楽を志している子なのかもしれませんね。
小さなお子さんのためにと『さんぽ』も演奏されました。お母さんの膝の上で跳びはねるようにして一緒に歌う女の子がいて演奏家もニコニコ顔でした。最後に『アメイジング・グレイス』が演奏されると、目頭を押さえる園長先生の姿がありました。いろいろ思い出されることがあるのでしょうね。
演奏の余韻と熱気が冷めやらず、演奏家が退場してもお客さんはしばし客席に残っていました。
と、ある人が数十年前の思い出話をしてくださいました。
「子供を唐桑からこの幼稚園に通わせていてね、毎朝送る車の中でヴィヴァルディの『春』をカーステレオで流してたんだよ。それを思い出したなあ」
牧師の小山さんは「音楽の力は素晴らしいですね。浄められ、精神が高められた気がします」と感動した面持ちで言いました。
戸外に出ると日はとっぷりと暮れ、青い闇の中に礼拝堂の明かりがぽっと灯っています。見上げればお月さまに木星とスピカが寄り添うように輝いていました。
みなさんの心にも小さな光が灯ったでしょうか。どうぞ良い夢を。