仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として
この住宅とその周辺にお住まいの方々の交流の場「うたカフェ」を
2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、
音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。
（仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」）

すっかり葉桜となった仙台。そして今日は、最高気温22℃！例年であれば、5月下旬の陽気です。少し空の下を歩くと、じんわり汗ばむほどとなりました。とはいっても、朝晩はまだまだ肌寒く、毎日、着るものを考えるのに困ってしまうこの頃です。

今日は、いつもの「うたカフェ♪」を始める前に、音楽の力による復興センター・東北の代表理事 大澤から、みなさんにご報告と挨拶がありました。2016年12月に、こちらの「うたカフェ」を撮影させていただいた映像を含む、音楽の力による復興センター・東北の「歌声サロン」活動を紹介する映像作品が、ようやく完成したのです。今日は、その完成試写会も兼ねていました。「あ～、そういえばそんなこともあったわねぇ」と言いながら、みなさん興味津々。泉中央南市営住宅や、若林西市営住宅の様子も映りましたが、田子西「うたカフェ」のシーンでは、美味しそうに喫茶ひこさんのコーヒーを飲むみなさんが、たくさん登場します。「やだ、飲んでるところばっかり（映ってる）！」と恥ずかしそうな方も。「カメラマンさんが、つい撮りたくなってしまう、いい笑顔でいらっしゃったからですよ！」とスタッフS。そうです、みんなで一緒に歌うことと同じくらい、この場所に来て会が始まるまでの間におしゃべりしたり、コーヒーのいい薫りを楽しんだり…その時間も「うたカフェ」の大事な要素。この映像は、今後、インターネット上でも公開されるので、見てくれた方にその「うたカフェ」の雰囲気が、少しでも伝わったなら大成功なのです。撮影されたのは、ちょうどクリスマスの頃。ハンドベルで「きよしこの夜」にも挑戦しました。みなさんお揃いの赤と緑のスカーフを首元に巻き、なんだか即席コンサートのように楽しい思い出となった回でした。

さて、今月の「うたカフェ♪」は『人生』がテーマです。前回、このテーマに沿ったリクエストを募ったところ、その場でこの曲！という声は出てこなかったのですが、音楽リーダーの岩瀬りゅう子さん、松本康子さん(仙台オペラ協会)が選んだ『人生』ソングは、さて、どんな選曲になったかというと…？ピアノは、富樫範子さんです。

まずは準備運動。松本さんの指導で、椅子に座った姿勢のまま、両足を内側から、外側から、足首だけ…と少しずつ回していきます。それから手首、肩、首…少しずつぶらぶらと揺らして、弛めていきました。そして今日は早速歌へ。なんといっても、課題曲がたくさんあるのです。「今日は、もういろ～んな人生を歌いますからね～」なんだか、映画を何本も続けてみるような、密度の濃い歌ばかりです。1曲目は「365日のマーチ」水前寺清子さんです。「幸せは～歩いてこっない～♪」の1番は知っていましたが、2番、3番の歌詞はあまり歌う機会がないように思います。「ワン・ツー・パンチ、のところは、こうして数字を指で作って、パーンチ！とやりましょうか」岩瀬さんが提案されましたが、歌いながら、テンポに乗って指も手も動かすのは…頭で思う以上にずいぶんと難しいものでした。何度か繰り返しているうちに「パーンチ！」までできる人が、チラホラ…。そして、なんとも歌っていると元気が出てくる曲です。

つづく「人生いろいろ」「愛燦燦」も、耳馴染みはあるものの、いざ歌ってみると、2,3番まではなかなか知らないものです。「愛燦燦」では、“哀しい”“可愛い”“愛しい”など、人の感情や感じ方を表す言葉が歌詞に登場します。岩瀬さんから「その言葉を歌う時には、そういう表情で歌ってみましょう！」とアドバイス。「歌っている人というのは、その”表情”に変化がある人のほうへ、ほうへと、人の視線が集まっていくんですよ！」なるほど、言われてみると分かります。表情なく歌っている人よりも、表情がどんどん歌詞に沿って変わっていく歌い手さんのほうが、魅力的に思えます。まだまだ歌詞を追うのに精いっぱいのみなさんでしたが「最初に歌ったころよりも、少しずつ、みなさん表情が出てきましたよ！」と誉められて、ふふふ、と笑顔がこぼれます。「人生一路」を歌ったところで、もう残り10分ほど。大変大変、とひと休みのコーヒータイムです。

今日のお菓子は、黄色いひよこの姿可愛いいひと口お菓子。かわいいひよこの正体は、なんと、マシュマロでした。始めにたくさんのひよこがお盆に並んでいると、ついつい目が合ってしまって、なんだか食べてしまうのが、少し可哀想…？

最後のミニコンサートは、松本さんによる1曲「全ての山に登れ」を。ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」からの1曲です。ドラマチックなこの曲、松本さんは、とてもとても高いところまで音域を拡げて「Clime！Clime！Clime！」。圧倒的な歌に、大きな拍手が送られます。「ありがとうございます。今日は、少し編曲を加えて、全ての山に、“私は、登るのよ！登るの！”と。これは自分を励ますための歌、というつもりで歌ってみました」とのこと。広い広い劇場で、物語の最後の最後に歌われた演奏を聴いたときのように、聴いていたみなさんも、大きな感嘆のため息をついて受け止めていました。そして松本さんから「では、今日、少し歌い足りなかったものもあったので、次回も『人生』をテーマにしたいと思います！」と宣言。でも、松本さんの歌の余韻に、なんだかまだ終われないみなさんの様子を見て、岩瀬さん「それじゃ、最後に、さっき歌えなかったもう1曲、水戸黄門を歌って終わりにしましょう！」画して、「じ～んせい、ら、く、あ、りゃ、苦もあ～るさ～」を終わって今日はお開きに。

歌で辿った様々な人生。次回もテーマは変わらずとのこと。帰りがけ、荷物を積み込む喫茶ひこマスター西垣さん、ふと思い出したように「そうだ、人生だったら、あれ！『マイ・ウェイ』！」さて、ひこさんのリクエストは、採用されるでしょうか…乞う、ご期待です。

田子西「うたカフェ♪」は、田子西市営住宅・田子西第二市営住宅のほか、田子西中央町内会など、ご近所の防災集団移転団地のみなさんにもご参加いただいています。参加してみたいという方は、第3金曜日の14:00に、どうぞ田子西市営住宅集会所にお越しください。参加料は100円（コーヒー・お菓子代）です。お待ちしています！