お知らせ

石巻「みんなと行兵衛茶屋」へ

2014.4.27

IMG_20140427_120655宮城県石巻市湊地区は旧北上川河口に近く、津波で大きな被害があった地域です。総合福祉会館みなと荘の周辺には修繕されないままの空き家が残っています。人口が減ったこの地区ですが、みなと荘では人々の交流を絶やさないようにと「みんなと行兵衛茶屋(いぐべっちゃや)」というサロンを継続して開催しています。「いぐべっちゃや」とは方言で「行きましょう」「行こうではありませんか」の意味です。800_7453
今日は山形県鶴岡市の社会福祉協議会などの方々が自慢の桜と団子を持って来て観桜会を催すとのことで、花も団子も音楽も一緒に楽しもうと、復興コンサートをお届けしました。
IMG_20140427_114908出演は仙台フィルのヴァイオリニスト小川有紀子さんとチェリスト山本純さん、そしてフリーランスのピアニスト藤井朋美さんのトリオです。ほぼ1年前の5月2日に小川さんと山本さんはここで復興コンサートを行ないました。そのとき小川さんが「また来ますから」と言ったことが今日のコンサートにつながりました。800_7405
会場にはおよそ120名の方が集まり、100畳近い大広間が狭く感じられるほどの賑わい。明るい陽光が差し込む窓辺にはたくさんの花をつけた大きな桜の枝が置かれていて佳い雰囲気です。鶴岡とみなと荘との交流は2012年5月以来ずっと続いていて、この観桜会は毎年恒例となっているそうです。
ドレス姿の演奏者が登場すると「あらー!」とおどろきの声が上がり、会場がいっそう華やいだようでした。
今日はいつもの復興コンサートとは趣向を変えて、本格的クラシックプログラムです。ラフ「カヴァティーナ」、ショパン「ノクターンop.9-2」、ピアソラ「アヴェ・マリア」、クライスラー「序奏とアレグロ」、ドビュッシー「月の光」、ブラームス「ハンガリー舞曲」第6番、アルベニス「タンゴ」などをソロ、デュオ、トリオと編成を変えながら演奏しました。ピアノのやさしい調べに多くの人がうっとりと目を閉じて聴き入っていました。チェロの哀愁を帯びた音色に涙する男性もいました。ヴァイオリンの超絶技巧には会場が割れんばかりの大喝采が沸きました。
800_7548ピアノの藤井さんはまさにこの湊地区のご出身で、さらにチェロの山本さんは鶴岡出身ということで、お客さんも親近感が湧いたようです。「この曲の名前は?」「作曲者は誰ですか?」と質問する人や「いやあ、うまいねえ~」と話しかける人など、客席はとてもリラックスした雰囲気で、お客さんの反応の良さに演奏がさらに熱を帯びたようでした。IMG_20140427_120710「演歌をやろうとも思いましたが、たまにはクラシック音楽の良さも知っていただきたくて…」と言うと、心から堪能したというように多くの方が大きくうなづき、拍手を送っていました。

IMG_20140427_093833今日の石巻は暖かく、おだやかです。みなと荘の周りには壊れたまま放置されている人家もある中で、向かいの石巻市立湊小学校は震災から3年を経過してようやく改修が終わりこの4月から再開しました。
「元通り」にはならないけれど、少しずつ前へ進んでいる様子が感じられます。このみなと荘も来年春に新築オープンする予定だそうです。また是非お会いしましょうね。